わたなべ学習塾 | 日記 | こういうお仕事も

非常に残念なことではありますが、今日ある受験生が今年の受験を断念しました。それは「今年はもう間に合わないから来年に向けて浪人を決めた」というようなものではありません。当面、大学受験というものを受けないという選択をしたのです。

詳細は書けませんが、この生徒は大きな病気を抱えているため、今まで勉強においてはかなり大変な思いをしていました。また進路もとても難しいところを希望していたので、そのプレッシャーも並大抵のものではありませんでした。

進学への希望が無くなったわけではありませんが、現在の学力と目標との差、及び受験勉強が与える精神的・肉体的な悪影響の大きさから、目標を断念したことになります。

さて、このような結果を見て「この子にとっては、これまでの受験勉強は無駄だった」と考える人も少なく無いでしょう。しかしそれは絶対に違います。

この生徒が勉強してきた期間はそれほど長くはありません。けれどもその間は真剣に勉強し、特定の科目においては今の一般的な受験生に肩を並べるくらいまで、きちんと点数を伸ばすことが出来ました。この伸びの大きさは、他の受験生に引けを取りません。

小学校の頃からずっと「自分は勉強が出来ない」と思い、またそれを学校や先生からずっと言われてきたこの生徒にとって、大きく点数が伸びたことは大きな自信に繋がり、今後の人生に大きな影響を与えるはずなのです。

うちに入塾する前、他の塾に相談に行ったところ「その成績であなたの希望進路はあり得ない。無理だ」と断られたそうです。生徒自身もとても悔しい思いをしましたし、深く落ち込んでしまったそうです。

私はどんな成績であっても、またどれほど目標が高くても、「それを実現するための方法」を考えます。だから本気でやりたいことであれば否定はしませんし、そのサポートは惜しみません。しかし決して、受験や勉強だけに固執するつもりもありません。時に勉強以外の道を選択しないといけないのであれば、その方向性に”道筋”をつけるのも、私の役目だと思っています。

現状をきちんと聞き、今後について出来る限りアドバイスしました。また勉強の指導が必要であればそれを行いますが、それまでは違った形で応援することにしました。こういう事も、私にとっての大切なお仕事の一つなのですね。

公式HP　→　私のお仕事と、とある浪人生