わたなべ学習塾 | 日記 | 先日のデータの話と関連して

先日の公式ブログに書いた内容に関連して、ブログで扱いやすいニュースを見つけたので、こちらで少し書いてみたいと思います。

まずは次の記事。

「大卒→中小企業」より「高卒→大企業」の方が生涯賃金が高い　（sankei bizより）

みなさんはこの記事を見て、どう感じますか。「そうだったのか！」と驚かれる人はどれくらいいるのでしょう。

誤解がないようにきちんと書いておきますが、私は高卒からの就職を批判するつもりはありません。もう少しきちんと書くと「高卒で働いても、努力した分だけちゃんと生きていける社会」が出来て欲しいと思っています。だからその点で批判をするつもりは全くありません。

ただこの記事は、読者が”信じたいものを信じる”という心理に向けて書かれています。そこで私には、納得できる部分がほとんど無いのです。

確かに将来賃金に関するデータは、それなりに信じられるものでしょう（と言うか、それを信じないと記事を読んでいく意味がありません）。しかしそこから出てくる言葉が「大学進学は十分に元が取れる選択と言えそうです」というもの。

残念ですがこの言葉で、この文章を書いた人が大学でさほど大したことを学んでいないことが伝わってきます。いやもしかしたら、きちんとした勉強をしてきたのかも知れない。しかしこういう文章を書かないといけないから書いただけかもしれない。・・・にしても、この一言で台無しです。

大学は学校なので、学問に触れたり勉強をするために行って欲しい・・・私はこう考えます。

そしてもう１点。この記事の終盤で出てくる言葉が、「６人に１人は、大企業に入社できることになります」というもの。これは”入社できない”という前提での言葉なのでこういう書き方になっているのですが、これを少し書き換えて「６人に１人しか、大企業には入社できない」とすると、とたんに印象が変わると思います。

これが”データに考えを吹き込む”と書いたものです。

繰り返しますが、私は高卒からの就職を否定するつもりはありません。出来れば高卒からの就職でも、十分に社会で活躍できる機会を増やして欲しいと思っています。だからこそ、こういう”時代錯誤も甚だしい”文章を批判するのです。

最近は「大学で何を学んだのか」ということを、企業も問うようになっています。大学に行けば就職は大丈夫・・・なんて考えているから、後で困ることになるわけです。だから「大学では勉強をして欲しい」という当たり前の主張をし続けますし、それをなおざりにしているのは如何なものかと思いますね。

とは言え、こうやって噛みつくほどには興味を持ちました。最近は取り上げる気にもならない新聞記事が多いですからね。

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